18/04/2025
【4/17 宝庵 佐藤愛美さん 楽琵琶ソロコンサート】
楽琵琶(がくびわ)とは、4弦の絃楽器で座って膝に乗せて演奏します。
大河ドラマ『光る君へ』で、吉高由里子さんが奏でた姿が印象に残っている方も多いでしょう。
本来は、雅楽の合奏の中で演奏されるもので、
篳篥(ひちりき)や龍笛(りゅうてき)がメロディを奏でるのに対し、楽琵琶はリズム隊。
全体の音頭をとる指揮者のような役割をこなすものだそうです。
したがって、楽琵琶の演奏には余白が多い。
ボロボロン♪と鳴らしたあと、ラジオなら放送事故と思われるような無音の時間が続きます。
今回のソロライブでは、その余白を周囲の鳥たちの声が埋めてくれて、格別な余韻に満ちた演奏となりました。
8畳間で「春鶯囀(しゅんのうてん)」〜春のウグイスはさえずる〜からスタート。
薩摩琵琶などと違ってストーリー性があるわけではないので、ただぼーっと自然を眺めるように耳を傾けてくださいと、奏者の佐藤さんより。
江戸初期の寛永年間、ほぼ400年前に作られた琵琶は、曲にあわせて弦調することで異なる調べを奏でます。
幕間のお茶タイムは、空羽の新作練り切り『春の音』(はるのね)を。
楽琵琶に桜吹雪が舞う本日限定のお菓子は甘夏ピール餡でほろ苦く爽やかに。
後半は、一畳台目の夢窓庵の中で、”秘伝”の奏法といわれる「啄木」と「流泉」の2曲。
こちらは楽琵琶のソロ曲だそうで、「啄木」はきつつきのドラミングの音をイメージさせる楽しい演奏。
宝庵の鳥たちも楽しそうでした。
最後に庭に出て、楽器を龍笛に持ち替えて演奏もしていただきました。
あらわになった鎌倉石に向かって立つ平安装束の佐藤さんは、まさに男装の麗人。
岩肌をかけあがるような龍笛の音色に包まれて、平安時代にタイムスリップしたようなひとときに酔いしれました。
床の間には、『山水有清音』のお軸。
谷戸の自然に溶け込んで流れていく琵琶の音の心地よさを文字に表したようで、
主催の小沢まなみさんが活けたシャガの花とともに心に残る景色となりました。
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