06/10/2026
続報です。TSSA(台湾清酒焼酎研究協会)が開催した研究フォーラム「日本酒の次なる10年〜技術、価値とグローバルな視野」で登壇した方々のスピーチの要旨を報告します。
宇都宮仁氏(日本酒造組合中央会)は、「日本酒は国内外ともに量から質への転換点」にいると現在の市場を括り、これまでの活動は展示会への出展など窓口の開発がメインだったが、今後は和酒の育生の核になるコミュニティ作りに重点を置くと述べました。
松崎晴雄氏(日本酒ジャーナリスト)は、国内で人気のガス感のある酒が欧州では半製品と評価されるなど、エリアによって酒質の受け止め方が違うことを指摘。食文化や社会環境面から成長のポテンシャルが高いエリアとして中南米を挙げました。
高橋圭氏(酒類総合研究所)は近年の温暖化にともなう米の高温障害(硬くて溶けにくくなる)への対処法を解説しました。まず、その年の米の溶けにくさを出穂後の気温をトレースすることで予測し、あらかじめ対応策を準備することを推奨。これまで取られてきた「給水率を高める」「蒸し米の放冷時間を短くする」「掛け上げになるように仕込む」「留め仕込みの組み水を抑える」「わずかな酵素剤の使用」のほか、米を扁平もしくは原型精米で処理すること、新たな研究として「硫酸カルシウム」の添加などの手法を紹介しました。
西山泰弘氏(日本刻SAKE協会)は、江戸期に愛されてきた古酒が明治以降の税制度の変更で新酒偏重に変わった歴史をおさらいし、協会では貯蔵温度、貯蔵環境、貯蔵容器、元の酒質の4つの観点から熟成による変化をモニターしていることなどを説明しました。また、複数の酒蔵の古酒をブレンドして豊かな味わいを創り出す、スコッチウイスキーで行われてきた手法にも取り組んでいるそうです。
弊社の山田聡昭は世界酒蔵ランキングのチェアマンとして、コンテストを健全に育成が清酒の市場拡大のキーファクターの一つという考えを説明しました。そして、忖度の要素が入らない入賞実績の積み上げで酒蔵を格付けすることで、ビギナーに商品ではなく酒蔵で酒を選ぶ「わかりやすさ」を提供すると述べま
した。